
■ロス疑惑再燃、三浦氏逮捕
80年代文化がブームである。
CMでやラジオなどではしきりに80年代の音楽が流れ、ジャニーズではマッチが復活している。
このころに青春期を迎えた人々は40代に入り、最大の所得層となり、その子らも青春期を迎える時期。当然親の時代の文化の影響も色濃く、メディアは親子二代でのマーケット取り込みを狙っている。
そんな時勢にまさか、この人までリバイバルするとは思わなかった。
三浦和義。
80年代のピカレスク・ヒーロー。長身の二枚目、弁才と堪能な英語力、豊富な海外経験と商才を持つ。そして法律に熟知したワル。この絵に描いたようなカッコイイ男をオンナがこれを放っておくわけがなく、彼に絡んだ女たちは殆どが皆モデル顔負けの美人とくる。そこに、ロスサゼルスが舞台の保険金目当ての殺人疑惑。ロス疑惑は、都会派サスペンスドラマ顔負けのスキャンダルとなった。
事件の真相は別として、この疑惑の主人公がもっと一般的だったらどうだろう。酔っ払うとネクタイを頭に巻き、宴席ではオヤジギャグの連発で周囲に冷気を放ち、お絞りで顔どころか脇まで拭き、帰りはタコ焼き片手の千鳥足といった冴えないオッサンだったら、ここまでは盛り上がらないはずだ。
しかし。「最初の5分、コイツと話したときには頭のイイ男だと感心する。5時間話すと変人だと思うようになる」。三浦和義と同時期に服役した者の言葉(うろ覚えですが)が示すとおり、基本は変人なのだろう。
自分が子供のころ。街中にはまだいろんな奇人がいた。
自分の家の窓を開けて、一日中何もせず外を眺めているスポーツ刈り&ランニング姿のオヤジ。
授業中にオーディオで軍艦マーチをかけて、大声で戦争礼賛をした教師。
作業用ズボンのすそにストッキングをかぶせて履き、そこらをうろつきまわる“ストッキング爺さん”
この手の人たちはきっと、天から何らかの役割をこなしているのだ。ただそれをフツーの人間では理解しくい内容なだけで・・。経済的貢献優先の時代になるとまっさきに切り捨てられる人々でもある。
人は皆、多かれ少なかれ奇人なワケであり、その発露を我慢しながら協調している。
現在はいかなる人間も資本拡張に参加しなくてはならず、その才能がない人間には非常に済みにくい世の中となっている。その強制がエスカレートしていることが、自殺増加や鬱、イジメの核となっているに違いない。
「平和な時代の舵取りをするのは凡人。だが危機の時代が来ると、変人が舵取りをする」という言葉がある。総理大臣でばなく、生徒会長としてならば、小泉純一郎よりも安倍晋三のほうがきっと人気があったはずだ。だけど首相レベルになると、どこか狂気の要素がないと勤まらないのかもしれない。
ほぼ単身で、警察権力と対峙し、マスコミと立ち向かい、世間を平気で敵に回す。というかむしろ目立つことを喜ぶタイプの三浦。並みの人間なら1週間でノイローゼになるに違いないのに。
ことの真相、善悪好悪は別として、ある意味では傑出した部類に入る人物ともいえる。
3度の危険な航海に出、アジアを見つけたつもりでアメリカ大陸にた到達したコロンブス。
子供のころに読んだ神話を信じて、事業で成功した金を注いで、勘違いにまみれつつもトロイア遺跡発見を達成したシュリーマン。
三浦和義は、上記の2人とスケールの違いこそあれ類型なのだろう。己の変人性を世間の逆風にめげず押し通してゆける系譜なのだろう。
惜しむらくはその方向性。
彼のタイプは、方向性が海に向かえばコロンブスになり、砂漠に向かえばシュリーマンになっていただろう。雪山に向かえば、三浦雄一郎になっていたにはずだ。
サッカーに向かえば・・・、当然三浦和良になっていたに違いない。



